セミリタイアを目指すにあたって、「どこに住むか」と「住居はどうするか」という住まいの問題があります。今回は「どこに住むか」にフォーカスして、あおむしの現在の考えを整理してみました。
「住居はどうするか」を考えた記事はこちら↓
住む場所として検討する候補
住む場所として候補に挙がるのは、日本国内の大都市か地方都市(田舎)です。海外移住については、今のところ考えていません。暗いことがいろいろ言われている日本ですが、それでも世界の中では飛びぬけて豊かで暮らしやすい国であることは間違いないですからね。
これだけだとざっくりしているので、各ジャンルで具体例な候補を考えてみます。
まずは大都市ですが、東京や大阪は地価や物価がぶっとんでいるため、あおむし的には名古屋、神戸、福岡あたりを候補に入れたいと思います。
次に地方都市ですが、ここは東京近郊(埼玉など)や、それほど人口が多くない私と妻の出身地を候補に入れます。
場所に求める条件を考える
「住居はどうするか」の記事で、住む場所に求めていた条件は以下の通りでした。
・費用が高すぎない、具体的には2DKで3~4万円台
・セミリタイア後の通勤先・学校に近いorリモートワークできる環境があること
・図書館が近くにあること
・近隣住民との関わり
これらの条件は住居を検討する際に求めていた条件なので、住む場所に関する条件をもう少し付与します。新たに付与する条件は以下の通りです。
・働き口があること
⇒セミリタイアをしても、労働は完全になくなるわけではありません。今よりも負担が少ない仕事(まだ何をするかは決めていませんが)にありつけることが、住む場所の条件になります。
最近はリモートワークでできる仕事も増えてきて場所の自由度はあがりましたが、こういった仕事は自身がフリーランスとなり、どんどん仕事をとっていく必要があるものが多いです。やはり近くに正社員やパート・アルバイトで働ける場所があるというメリットは大きいと感じています。
・車を使わなくてもいいこと
⇒車は生活費の中では大きなウェイトを占め、軽自動車1台でも平気で年間20万円以上の維持費がかかります。そのためあおむしは、セミリタイア後は車を完全に手放すことを目標にしています。したがって、車を使わずに通勤先や学校、図書館に行けることが住む場所の大きな条件となります。
・子どもの進学時、自宅から通えるか
⇒子どもが大学まで進学する場合、あおむし家では学費の安い国公立大学一択になります。そこで重要になるのが、子どもが下宿するか自宅から通うのかです。下宿をする場合、進学先の相場にもよりますが、4年間で賃料は200万以上はかかります。
親としては、学費と賃料くらいは最低でも仕送りをしたいと思っているため、それに向けた準備はセミリタイア後の生活費の中でも計算に含めています。
しかし、もし自宅から通えるのならば、賃料が交通費に置き換わって100万円以上圧縮できるので、それに越したことはありません。したがって、各候補で近隣に国公立大学があるか、進学難易度的に選択肢は広いかも必須条件ではありませんが考慮に入れます。
大都市(名古屋、神戸、福岡)
費用の面では、これら都市は地価が高いので賃貸一択になります。
各都市の2DK~3LDK、賃貸価格5万円以下(管理費込み)をHomesで検索したところ、名古屋は1869件、神戸は789件、福岡は462件(2023年4月4日現在)でした。いずれの都市もかなりの物件数があり、より取りみどりといえそうです。また、もう少し近郊の市町村も候補に入れれば、より選択肢は広がります。アクセスも電車などが発達しているので、さほど影響はありません。
次に立地の面ですが、通勤先や学校、図書館へはいずれも徒歩または発達した交通網(電車、バス等)のおかげですぐにアクセスすることができます。車は不要でしょう。逆に持っていると、毎月高額な駐車場代を請求されてしまいます。
近隣住民との関係については、これらの都市は比較的希薄であるといえそうです。実際に私はこの都市のうち名古屋には住んだことがあるのですが、ご近所づきあいなどは全くなかったです。当時は子どもがいなかったので、子どもが学校に行けば保護者間の交流や地域イベントへの参加はありそうですが、それはどの場所でも同じです。もしトラブルに巻き込まれたとしても、引っ越し先は上で調べたように市内にいくらでもあります。
働き口に関しても、心配する必要はなさそうです。正社員として働く場合でも、パートやアルバイトとして働く場合でも、職場は比較的短期間で見つかると思われます。また、仕事が合わなくても別の働き口を見つけて転職することも容易です。さらに、都市部だと最低賃金が高く設定されているため、他の地域に住むよりお金を稼ぎやすいです。2022年の都道府県別の平均年収は、愛知県が3位、兵庫県が5位、福岡県が18位といずれも全国平均を上回っています。
大学進学の面でもこれらの地域は選択肢が広く、恵まれています。例えば、私が昔住んでいた名古屋を例にとってみます。名古屋市内には難関大といわれる名古屋大学、メーカーなどの就職に強い名古屋工業大学、中堅の名古屋市立大学等の国公立大学が充実しており、近隣の県も視野に入れると岐阜大学や三重大学も名古屋駅から1時間程度で通学可能です。
以上のことから、名古屋・神戸・福岡の3都市は、セミリタイア後の住む場所に求める条件はほぼ全てがそろっていると言えそうです。
地方都市
・東京近郊(埼玉、千葉)
⇒東京近郊の地方都市(埼玉や千葉)も、場所にはよりますが地価が高いので賃貸一択になります。
これらの都市は比較的大都市と性格が似ています。立地や近隣住民、働き口の面では上で挙げた大都市と大差なし、とみていいでしょう。都道府県別の平均年収では、埼玉が10位、千葉が11位でいずれも全国平均越えです。
2DK~3LDK、賃貸価格5万円以下(管理費込み)のHomes検索結果は、埼玉が1617件、千葉が2118件でした。しかし、交通の利便性が高い市街地(さいたま市や千葉市内)になってくると条件を満たす物件数が一気に少なくなってくるところは気になります。東京のベッドタウンでもあるので、その賃貸価格に引きずられていると思われます。
また、子どもの進学面で考えると東京近郊の国公立大学は思いのほか偏差値の高い大学が偏っているため、そこに入れるようにしっかりと教育費をかけるか、下宿させて遠い場所の国公立大学に通わせるかの選択肢になる可能性が高く、費用は高止まりしそうです。
上記を踏まえると、住む場所に求める条件は大都市に比べて、一部満たさない項目が出てきます。セミリタイア生活の選択肢としては劣りますね。
・妻の出身地(地方の第二、第三都市)
⇒妻の出身地も、埼玉や千葉程の規模ではありませんが地方都市といえるレベルの場所です。規模としては、その都道府県の第二、第三都市くらいの規模です。住居の選択肢としては、中古住宅または賃貸が選択肢に入ってきます。
以前の「住居はどうするか」では、当面の住居としては賃貸を想定していたため、今回もそちらで考えていきます。地域バレを防ぐため件数は伏せますが、2DK~3LDKで賃貸価格5万円以下(管理費込み)の物件は、かなりの数あります。築年数は古くなりますが、3万円台前半の物件も比較的ヒットします。費用の面では、大都市や東京近郊に比べて毎月1万円程は抑えることができそうです。
働き口は大都市に比べて限られます。が、必要最低限求める条件は満たせそうです。妻の地元付近には大きな工場がいくつかあり、それらを中心として生活圏が出来上がっています。工場で働く正社員や派遣職、付近のショッピングモールや飲食店でのパート・アルバイトには比較的ありつけそうです。また、立地に求める条件もこれらの市街地や工場、図書館までは徒歩で30分圏内の物件がいくつか見つかるため、最低限の条件は満たしています。車についても、妻の勤務先の近くなどにして、あおむしは自転車通勤で対応すれば、無くても生活はできそうです。
近隣住民との関係については、より親密な関係が求められます。妻の地元では近所付き合いも活発で、妻のご両親はよく地元の方と宴会をしています。毎月の行事参加や、場合によっては消防団活動なども参加する覚悟はしておいたほうが良いでしょう。
また、近隣に大きな工場があって外国人労働者が多いため、文化の違いからくるゴミや騒音問題も少なからず起こっています。トラブルに見舞われる可能性はそれなりにありそうですが、幸い物件数は十分あるので、いざとなったら引っ越しもできます。
また、妻の両親が近くにいるということは非常に心強いです。ご近所付き合いもご両親がいてくれることで円滑に進みそうだし、何よりも子育てにおいて支援を得ることができます。お互いの実家の帰省中は、結構ご両親に子どもを見てもらうことがあるのですが子供の手が離れる時間が少しでもあると、負担が一気に軽くなることを実感します。
子どもの進学面では、自宅から通える範囲に国公立大学はなく、下宿一択になります。お金はかかりますが、高校までは公立一択で費用を抑え、ジュニアNISAと毎月の貯金積立をすることで対応できます。
上記を踏まえると、多少の不便さや近所付き合いはあるものの、生活コストと子育ての負担は抑えることができ、十分選択肢として入れることができます。
・あおむしの出身地(田舎)
⇒あおむしの出身地は、地方都市にはありますが市街部からかなり離れており、田舎といわざるを得ません。住居の選択肢としては、賃貸か実家の間借りのどちらかになります。
まず賃貸ですが、2DK~3LDK、賃貸価格5万円以下(管理費込み)のHomes検索結果は決して多いとは言えず、3万円台になるとほぼありませんでした。また、あったとしても市街地からかなり離れた場所にあり、下手すると夫婦で車が必須となりそうです。
また、実家の間借りでは、現在実家には使っていない空き家が1棟あり、そこに住むことになります。立地としてはこちらも市街地から離れており、1台はあまり使っていない親の車を借りるとしても、自分たちの車が最低1台必要になります。家にかかる費用が固定資産税くらいなので、トータルで考えると家賃4万円台の家に住むのと同じ程度です。
上記を考慮すると、車の数を減らせる実家の間借りが選択肢になるので、そちらで考えていきます。
立地面では職場まで車が必須となり、定期的に通いたい図書館も近くにありません。
働き口に関しても、多いとは言えません。大きな企業や工場が付近になく、市街地でも生活圏は大きくなく、賃金も安いです。正社員はもとより、パートやアルバイトでも仕事を探すのは苦労することが予想されます。ここに住むうえでは、セミリタイアまでにリモートでできる仕事で生活費を稼げるようになることが必要です。
近所付き合いに関しても、それなりにあります。私の両親は月に数回ほど、地元の公民館で会合に参加しているようです。また、両親は畑を持っているのですが、用水の管理や除草などでたまにクレームが来ることもあるようです。こういったトラブルに巻き込まれても、実家の間借りという性質上、引っ越すことは難しいです。これはかなりのマイナスポイントです。
一方で、子育ての支援はこちらも両親の大きな恩恵を受けることができます。両親はすでに退職しているので、平日に子どもが休んでしまっても診てもらうことができます。
ただ、子どもの進学面でいうと、こちらも近くに国公立大学が一つしかなく、よりレベルの高い大学を目指したい場合は下宿になります。
これらを考慮すると、子育ての面ではかなり負担は抑えられますが、それ以外の要素でデメリットがいくつかあり、セミリタイア後の住む場所としての選択肢としては微妙です。
乗り越えるべき課題
・都市部は物欲が刺激されやすい
⇒都市部に住んでいるとありとあらゆる場所に飲食店やショッピングモール、商店街、路面店がひしめいているため、それらに物欲が刺激されてお金を浪費しやすくなります。また、物価も他の地域に比べて比較的高くなるので、これらの対策をしないと生活コストは一気に上がります。
また、子どもの教育の面でも周囲に学習塾や進学校が多くなるため、他の家に負けまいと子どもに色々と習い事をやらせたりや塾に通わせたりしたくなることが予想されます。そうなると、教育費もうなぎ上りに高くなってしまいます。
こういった周囲の状況に流されず、夫婦や子どもにとって本当に必要なモノやサービス(教育)を取捨選択できる力をセミリタイアまでに鍛えることが重要になると言えそうです。
・妻が親元から離れて暮らすこと/転職に抵抗がある
⇒妻は生まれてからずっと地元の近くで育ち、働いてきているため、親元から離れて暮らすということに抵抗感を持っています。また、妻のご両親としても、できるだけ娘には近くの環境で暮らしてほしいという希望があります。したがって、妻の地元から離れる選択肢をとった場合、妻とご両親にしっかりとそこに移り住むメリット・デメリットを説明をして、理解してもらう必要があります。
妻とは、毎月初めにカフェで将来について話す時間を持っています。セミリタイアの予定まではまだ3年半以上あるので、今後の話す時間の中でどこが自分たちの将来にとってベストなのかを、じっくりと話し合っていきたいと思います。
一方で妻のご両親とは、なかなか腹を割って話をする機会がありません。もしも妻の地元から離れた場所に住むとするなら、残り3年半の中でどうやって腹を割って話せるような関係を構築して、引越す話をしていくのか、これはまだ解決できていない課題です。
今のところの結論
これらの結果をまとめると、セミリタイア後の当面の住む場所は以下のいずれかになります。
・このままいけば、妻の職場と実家に近い妻の地元に住む
・引越しや妻の転職の意思が出れば、名古屋、神戸、福岡いずれかの大都市へ移住
もちろん、セミリタイア後にもライフスタイルは変化する可能性はあります。例えば、私の両親の介護が必要になれば、私の地元に移り住む可能性もあるでしょう。
しかし、今のところは上記の方針で行こうと思います。
最後に
今回はかなり長くなってしまいました。それだけセミリタイア後にどこに住むかは、考えを巡らせる項目なのだと感じました。今後は、絞った候補についてさらに深掘りした記事も投稿していこうと思います。
今回私がやってみた求める条件を洗い出す⇒候補をいくつか出す⇒各候補がどのくらい条件に合うか考える、というプロセスは、読者の皆様が住む場所を考えるうえでも役に立つはずです。
一緒により良い住処を探していきましょう!
ではまた。